毎夜の夫婦のいとなみ
夜になると心が乱れる。明日が不安で堪らない。不安だと眠るのが怖い。
そんなときぼくは隣で寝る奥さんの手を握る。 奥さんは握り返して「大丈夫。不安なことはないよ」と言ってくれる。 本当に救われる。
これですぐに気分が落ち着く訳ではないし、 また明日も同じように不安に襲われるのだけど。
大丈夫。安心して。不安なことはないんだよ。 これまでも大丈夫だったじゃない? 会社にだって難しい人もいたけど同僚にだって認められて評価されてきたじゃない。 これからもきっと大丈夫だよ。 それに失敗しても悪い評価を受けてしまっても別にいいよ。 会社を辞めたっていいんだよ。 私たちも家族も親もみんな元気だし助けてくれる人ばかり。 借金もない貯金もある。 評価なんか気にしないで。これまでも気にしないでやってきたでしょ? 将来のキャリアとか、一年後の姿とか、そんなのわかんないよ。 目の前の仕事だけに一生懸命やればいいよ。 平気なんだよ。多少適当にやったって。 それより楽しいことを考えよう。 好きなゲームしよう。どうでしょう一気見しよう。 落語見に行こう。 笑って暮らして行こう
そう言いながら奥さんはそのまま寝てしまう。 ぼくは「ありがとう。おやすみ」て言って目だけ閉じる。
ぼくは結婚して本当に良かったと思ってる。 これまで自慢出来るような結果や成果や経歴なんかないんだけど 彼女を奥さんに出来たことは我ながら上出来だったと思ってる。
wktkする展開はない。 ここ最近そんな元気はないんだ。